おまけ2 確率を数えよう


バックギャモンをそこまでよく知らない方から、
「バックギャモンって、ゲーム中にすごくたくさん、確率を計算しているんでしょ?」
「バックギャモンって、計算力の勝負なんですよね。」
などと言われることは良くあります。

その度に思うのは、
「いや、あの・・・そんなには計算しません・・・」

とはいえ、やはりサイコロを使う以上、確率を計算することが有効なこともあります。どんな時に有効なのか、ちょっとだけ見ていきましょう。

ダイステーブル

中学校の数学で「確率」について習ったとき、「2つのサイコロを振る問題」というのがあったかと思います。そんな時、次のような表を書かされた記憶はありませんか?

  1 2 3 4 5 6
1            
2            
3            
4            
5            
6            

これは、2つのサイコロを振った時に出る目の全通りを示した表です。見ての通り6×6=36通りの目が出ることがわかります。

注目して頂きたいのは、ゾロ目以外の目はすべて、同じ目が2通りあることです。たとえば「1・4」と「4・1」があります。「5・2」と「2・5」があります。すなわち、ゾロ目以外の目はそれぞれ、出る確率は2/36であることがわかります。一方ゾロ目はそれぞれ、出る確率は1/36であることがわかります。

このように、サイコロの全通りを精査して、次に良い目が出る確率は36分の何なんだろうか?と考えると、役に立つことがあるのです。

相手のコマをヒットできる確率

test136.png

test137.png

この2つの画像を比べてみてください。どちらも白の進行方向に赤のブロットがありますが、この2つのコマの距離が違います。次に赤のコマを取れる確率は、どちらの方が高いでしょうか。

まず上側は、距離が「1」です。つまり、「1」の目を出さない限り、ヒットできません。すなわち、11/36の確率でヒットできることになります。
  1 2 3 4 5 6
1
2          
3          
4          
5          
6          

次に下側は、距離が「4」です。つまり、「4」の目を出せばヒットできますが、それだけではありません。4の目を振らなくても、「1・3」「3・1」「2・2」「1・1」これら4通りの目を振っても相手のコマをヒットできますよね!つまり、15/36の確率でヒットできるのです。
  1 2 3 4 5 6
1      
2        
3        
4
5          
6          


距離が6以内ならば、距離が離れれば離れるほど、ヒットできる可能性は高くなります。

ついでに、次のような「距離7」の場面についても考えてみましょう。
test138.png

距離が7以上の場合、サイコロ1つの目では届きません。2つの目を足し合わせないとヒットできないのです。ですから、確率は激減します。「1・6」「6・1」「2・5」「5・2」「3・4」「4・3」の6通りだけ。確率は6/36です。
  1 2 3 4 5 6
1          
2          
3          
4          
5          
6          

そう考えると、たとえば自分にブロットがあって、それがどうしてもヒットされたくない時は、なるべく相手のどのコマからも、7以上距離を離せば良い、ということがわかりますね。

一応、それぞれの距離について、コマをヒットできる確率の一覧表を載せておきましょう。
ただし、もちろんその2コマの間に相手のブロックが挟まっていたりしたら、また数字は違ってきますけどね!
距離 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 15 16 18 20 24
確率(/36) 11 12 14 15 15 17 6 6 5 3 2 3 1 1 1 1 1

このような確率を参考に、「できる限り次にコマを取られる可能性を最小化するのはどんな手だろう?」と考えることによって、最善手にたどり着ける場面は、時々あります。

コマをゴールできる確率

ゲームの最後の最後では、確率を数えると得する場面があります。たとえば、次の場面でどう動かすべきか考えてみてください。

test139.png

相手のコマはあと4枚。必ずあと2回以内にすべてゴールしてしまいます。ということはこちらは、次の自分の番までに、必ずすべてのコマをゴールしなければいけません。

まず、「3」の目については当然、3ポイントのコマをゴールさせます。問題は「1」の目です。2ポイントのコマを動かすべきでしょうか。それとも、6ポイントのコマを動かすべきでしょうか。

これは、どちらの配置の方が次に2枚ともゴールさせやすいか、確率を数えれば明確なアンサーが出ます。

まずは2ポイントのコマを動かし、「6ポイント+1ポイント」という配置にした場合。2枚とも上がれる目は「6・1」「6・2」「6・3」「6・4」「6・5」(以上、その裏返しも)そして「2・2」「3・3」「4・4」「5・5」「6・6」です。つまり、15/36です。

次に、6ポイントのコマを動かし、「5ポイント+2ポイント」という配置にした場合。2枚とも上がれる目は「5・2」「5・3」「5・4」「6・2」「6・3」「6・4」「6・5」(以上、その裏返しも)そして「2・2」「3・3」「4・4」「5・5」「6・6」です。つまり、19/36です。

以上を比べてみると、6ポイントのコマを動かし、「5ポイント+2ポイント」という配置にする方が4/36通りだけオトク(勝率にして約11%分オトク)であることがわかります!いちいち数えるのは億劫・・・という方も多いとは思いますが、少しずつ慣れていってはいかがでしょうか。




  • 最終更新:2021-01-17 12:07:56

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